ボールペン考

ボールペン考

ボールペン

ども。演出です。
ワタクシ筆記具にはちょっとだけコダワリがあります。クルマ屋なので決して事務仕事ではないのですがボールペンは商売道具の一つでして、もう何年も同じボールペンを使い続けてます。といってもコンビニで買える105円のごく普通のボールペンなのですが、コレじゃないとどうしてもダメ。なのでいつインクが切れても困らないように、同じ製品のストックを持ち歩いてます。
ところが最近、使うボールペンを全部入れ替えました。

テレビ東京系で放送されている経済トークドキュメンタリー番組「カンブリア宮殿」の先々月の放送で取り上げられたパイロットコーポレーションの「フリクションボール」。コレにすっかりハマってます。

いや、前々から知ってはいました。「消せるボールペン」。

でもなんかね、イメージが良くなかった。“マガイモノ感”とでも言うか。ノンアルコールビールとか合成甘味料みたいなね。なんか違うか?まあでも使う気になれなかった。

ところが先述の番組中では“大ヒット商品”だっていうじゃありませんか。業界的には年間1000万本売れれば大ヒットのところ、去年は2億2000万本売れたというのだから尋常じゃない。世界累計6億本だそうです。

コリャ試してみなければ、と。
使ってみて驚嘆しました。想像を超えてました。

“ボールペンで書いた文字が消せる”ということがこんなに便利だとは!

「消せる」という直接的メリットだけでなく「消せるから臆せず書き込める」という点が想像を超えていた理由でした。

ワタクシ、芝居・劇団関係のアイデアはノートに手書き派です。番組中、ホストの村上龍がこう言ってました。

書くときにね(ペン先を指さしながら)ここでモノを考えるんですよ

演出も全く同感。どんどん“書いて”いくとロジックを超えたアイデアが生まれたりするわけですわ。

それとインクが、よくある“ねっとり”したインクでなく“サラサラ”です。描線の“止め”や“抜き”の部分に軽くインク溜まりが出来て、渇くまで数秒かかるような感じ。万年筆に似てるかな?なので筆圧があまり要りません。そうすると手に余計な力が入らないのでしょうか。丁寧に書けるんです。端的に言って字が上手くなります。ホントです。(たぶん)

フリクションポイント ビズ04 フリクションボール3

左が「フリクションポイント ビズ04」。稽古場ではコレを使います。右が「フリクションボール3」。三色ボールペンです。仕事では、込み入ったレポートを書くのでコレにしました。グリップ部はリアルウッドです。

フリクションボール

ご覧のとおり消せます。消える原理は“温度”。60℃で透明になり、マイナス20℃で再び発色するというインク。ペン後端部のラバーで擦って摩擦熱を発生させ消えるんですな。パイロットはこれを商品化するのに30年かかったそうです。

フリクション リフィル

少々の不満点も。amazonのレビューで多くの人が指摘しているのが“インクの減りの早さ”。仕事場の同僚が「フツーのボールペンの3倍の消耗」と言ってたけど、実際使ってみたら、わずか2週間で終了。3倍じゃなくて30倍じゃんヽ(;´Д`)ノ ご覧のとおりインク芯はこんなに太いのに…。それと演出の周りの反応は「色がちょっと薄い」って言ってます。ワタシは“acceptable”だと思ってますが。

ペリカン

フリクション以外も少々紹介を。画像はドイツの高級筆記具メーカー「Pelikan」の「Bell」です。Pelikanの製品には珍しい現代的なデザインが気に入って入手したものの、描線の太さと書き味の悪さに興ざめで、あまり使ってません。このモデル、たぶんもう手に入らないんじゃないかな?

AG-7

コレはここ7,8年ずっと稽古場で使ってきたものです。「Fisher AG-7」通称「スペースペン」。無重力下ではフツーのボールペンは使いものにならないということで開発され、宇宙に行ったボールペン。アポロプロジェクト当時から使用された歴史的モデルです。インク芯を密閉型にしてガスを封入し、圧でインクを押し出すという仕組みです。ウチの稽古場は宇宙空間にあるわけではないのですがね。まあロマンですな。演出は宇宙開発にとても関心あるもので。しかしね、コレたぶん構造的欠陥を抱えてます。ジツハこのAG-7、3本目。インク芯交換用に軸部分が上下二分割するのですが、ペン先側軸が縦にひび割れるんです。軽量化のために肉薄にしたからか、材料の質が悪いのかわかりませんが。この画像の3本目も既に同じように割れてます。$50.00もするのに… (;_;)

ちゅーことで、とても便利なフリクションボールですが注意する点がいくつか。コレ、公文書には使えません。なんせ消せちゃうんで。「んなこと言ったって書いちゃえば分かんねんじゃね?」と思うでしょ?仕事仲間の話では車検場に持ってく書類にフリクションで記入していったところ、受付で見事見破られたそうですよ。

それと夏場、熱々の車内にフリクションボールを放置したところ残ってたインクが全部透明になった、なんて話も。冷凍庫で一晩冷やしたらまた復活したそうですが(笑)

まだまだ課題もあるけれど、日本人のモノ作りってえのはホンット大したものですからね。フリクションのこれからの進化が楽しみです。(*^_^*)